若きリーダーへの六つの助言 Ⅰテモテ4章11節-5章2節

 あなたは、年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。むしろ、ことば、態度、愛、信仰、純潔において信者の模範となりなさい(Ⅰテモテ4章12節)。

 テモテはその若さの故に、その知識や経験が浅いとみられ、彼の指導が素直に受け入れられないという問題に直面していました。そのようなテモテにパウロはどのような助言をしているでしょうか。

 一つ目は、信者の模範となりなさいということです(12節,参Ⅰペテロ5:1)。パウロはその模範となるべき五つの分野をあげています。「ことば」とは、話すことにおいて正直であり、愛に満ちているということです。「態度」とは、生活が神のことばに従っているということです。「愛」とは、言動の動機を指しています。「信仰」とは、神に信頼し、結果として神に忠実であるということです。「純潔」とは、思いにおいても行いにおいても聖いということです。

 二つ目は、みことば(聖書)の権威を示しなさいということです(13節)。テモテには、使徒パウロの代理としての権威が委ねられていたことでしょう。しかし、その権威が受け入れられないとするなら、彼が拠り所とすべき権威はどこにあるでしょうか。それはみことばにあります。ですから、パウロは自分が不在の間において、三つのことに「専念する」ようにと命じているのです。「聖書の朗読」と「勧め」とは、聖書とそこからの生活の適用を示唆していて、叱責、警告、励まし、慰めなどが含まれます。「教え」とは、キリスト信仰の正しい教理のことでしょう。

 三つ目は、自分の賜物を用いて、神の召しを明らかにしなさいということです(14節)。テモテが神の召しに関する啓示(「預言によって」)を受けていたことは、すでに言及がありました(1章18節)。そして、その神の召しを認めて、パウロや長老たちがテモテに按手したときに与えられた「賜物」(カリスマ)について、パウロは「軽んじてはいけません」、「再び燃え立たせてください」(Ⅱテモテ1:6)と命じています。神はそれぞれのクリスチャンたちに賜物を与えておられます。それは、クリスチャンたちがその賜物を用いて仕え合い、キリストのからだを建て上げるためです。神は賜物を与えられますが、それを用いて、育てていく責任は受け手側にあります。もし、テモテが神の賜物を用いて、神の召しを明らかにするなら、彼の指導を拒むことはできなくなるでしょう。

 四つ目は、自分の霊的な成長を示しなさいということです(15節)。パウロは、テモテに命じたことに対して「心を砕き、ひたすら励みなさい」と命じています。それは彼の進歩がそのことによって明らかになるからです。たとえ完全からほど遠い者であったとしても(参 ピリピ3:12)、キリストにあって霊的に成長していることを人々が観察できるようにすることは大切なことです。

 五つ目は、一貫性に気を配りなさいということです(16節)。パウロは「教えること」だけではなく、その前に「自分自身にも」、「よく気をつけなさい」と命じています。同様の勧めは、エペソの長老たちにもしています(使徒20:28)。たとえ立派な教えを説くことができたとしても、教えと生活とに一貫性がないなら、教えることの信頼性を失わせてしまうでしょう。

 六つ目は、神の家族の一員としてふさわしく接しなさいということです(5:1,2)。教会は、性別、年齢など、さまざまな人々からなる神の家族です。ひとりひとりを家族の一員として、ふさわしい敬意と愛情をもって接することは交わりを築き上げていくために大切なことです。

 自分のリーダーシップが疑われたり抵抗にあうとき、相手を批判したり、力で従わせたいという誘惑に陥るかもしれません。しかし、クリスチャンのリーダーに求められているのは、良き模範をもって、謙遜に仕えることであることを、若き者も老いたる者も忘れないようにしましょう。

                               このメッセージは2021.3.21のものです。