アダムからノアに至る系図 創世記5章

 創世記にはいくつもの系図がありますが、創世記5章と11章の系図は、その中でも重要な系図です。洪水を前後して、5章には「アダムからノアに至る十代の系図」があり、11章(10–26節)には「セムからアブラハムに至る十代の系図」があります。神が約束された「女の子孫」(3:15、メシア)は、ノアやアブラハムを通して来ることがわかります。

 5章1節には「これはアダムの歴史の記録である」とあります。「記録」と訳されているのはヘブル語の「トレドート」です。この言葉は、新しい区分に入るときの重要な言葉であり、創世記に11回出てきます。

 5章の系図から、私たちはどのようなことを読み取ることができるでしょうか。第一は、人類の起源は一つであり、それは神が創造されたアダムにあるということです。そして、そのアダムから人類は増え広がり、やがて諸国民となっていったということです(参 使徒17:26)。

 第二は、人類は当初長寿であったということです。5章に記されている人々の長寿をどのように理解するかについては、これまでいろいろな提案がなされてきました。しかし、どれも説得力のある説明とはなっていません。現状では、文字通りに受け止めるのがよいと思われます。また、寿命の問題とともに、系図が途切れのない完全なものであるかについても議論が分かれていますが、少なくとも、登場する人々は実在の古い時代の人々であったということです。

 第三は、同じ定型句が繰り返されていることです(セツ、エノシュ、ケナン、マハラルエル、ヤレデ、メトシェラ)。その定型句とは、
(1)「AはX年生きて、Bを生んだ」
(2)「AはBを生んでからY年生き、息子たち、娘たちを生んだ」
(3)「Aの全生涯はX+Y年であった。こうして彼は死んだ」
です(11章の系図では(3)が省略されている)。

 定型句の一つ「息子たち、娘たちを生んだ」(9回)から分かることは、神がアダムを祝福して命じられた「生めよ。増えよ。地に満ちよ」(1:28)の命令が実現していることです。もう一つの定型句「彼は死んだ」(8回)からは、死が人類を支配していることが示されています。神がアダムに警告された「必ず死ぬ」(2:17)、「あなたは土のちりだから、土のちりに帰るのだ」(3:19)との言葉が成就しているということです。系図に登場する人々の死の現実は、アダムの不従順によって人類に罪が入ったことを証明しています(ローマ5:12)。

 第四は、定型句から外れて、追加情報が与えられている人物が四人(アダム、エノク、レメク、ノア)いるということです。一人目はアダムです(1–5節)。アダムは「神の似姿」(1節、1:26)に創造されました。その「似姿」は、その子孫へと受け継がれました(参 創世9:6、ヤコブ3:9)。その一方で、アダムの罪の性質も、その子孫へと受け継がれました。人は神のかたちを失ったわけではありませんが、罪の影響によって、本来もっていた神のかたちは歪められてしまいました。しかし、私たちはキリストにある新しい創造によって、神のかたちが回復されていくという希望をもっています(参 コロサイ3:10)。

  -「エノク、レメク、ノア」については、省略 –


       このメッセージは、2026.1.4のものです。