約束を成就される神 ヨシュア記



 これから「ヨシュア記」の講解をはじめていきます。初回ということで、書名に名を冠している「ヨシュア」という人物、「ヨシュア記」の大まかな内容、そしてヨシュア記の主題が何かを見ていきましょう。

「ヨシュア」と訳されているヘブル語イェホシュアは、「主は救い」という意味です。ギリシア語に訳すると「イエースース」で、新約聖書では通常「イエス」と訳されていることばですが、使徒7章45節とヘブル4章8節では旧約聖書を引用しているので「ヨシュア」と訳されています。

 ヨシュアが最初に聖書に登場するのは、アマレク人との戦いにおいてであり、彼はイスラエル軍の指揮官として戦っています(出エジプト17:8-14)。ヨシュアは、通常「モーセの従者」と呼ばれていています(出エジプト24:13,33:11,民数11:28,ヨシュア1:1)。「従者」とは「仕える者」という意味です。いつモーセの従者となったのかは正確にはわかりませんが、出エジプト以降からモーセが亡くなるまでの長期間にわたってモーセに仕えたことがわかります(参 申命1:38)。


 ヨシュアは、イスラエルの民が約束の地の近く(カデシュ・バルネア)まで来たとき、約束の地(カナン)へ派遣された十二人の偵察隊の一人でした(民数13:8、16)。偵察に行った十人は約束の地に入って行くことに否定的でしたが、カレブとヨシュアの二人は神の約束に信頼して入って行くことを進言しました(民数14:6-10)。結果として、出エジプトした世代で約束の地に入ることが許されたのは、カレブとヨシュアの二人だけでした(民数14:30,38,26:65)。

 ヨシュアは、モーセの存命中に後継者として選ばれました(民数27:15-23)。そこでは「神の霊の宿っている人」(27:18)、申命記では「知恵の霊に満たされていた」と呼ばれています(34:9)。モーセは自分の死期が近づいたとき、これから約束の地へと入ろうとしている民とその指導者ヨシュアを励ましています(申命記31:1-8)。

「ヨシュア記」の内容は、大きく四つに区分することができます。1-5章は「約束の地への侵入」です。6-12章は「約束の地の征服」です。13-22章は「約束の地の分配」です。23-24章は「ヨシュアの告別の説教」と「契約の更新」です。「申命記」はモーセの死をもって終わっていますが、「ヨシュア記」はその後継者のヨシュアの死をもって終わっています(24:29)。神は、モーセを通してイスラエルの民をエジプトから導き出し、その後継者のヨシュアを通して民に約束の地を相続させていることがわかります。

「ヨシュア記」の主題は、その書名に名を冠する「ヨシュア」という人物ではありません。イスラエルの民に対する約束を成就された「神」です。神の土地についての約束は、「アブラハム」(創世12:7,15:18-21)「イサク」(創世26:3-4)、「ヤコブ」(創世28:4,35:12)そして、直近においてはモーセに約束されていました(出エジプト3:8,17,6:4,8,33:1)。ヨシュア記は、神がその約束を成就されたことを示しているのです(ヨシュア21:43-35)。神は約束を実現することができる力あるお方であり、真実なお方です。


     このメッセージは2026.8.2のものです。