主の祝福と帰還の決断 創世記30章25節-31章16節
ヤコブが、パダン・アラムで伯父ラバンに仕えたのは20年間でした(31:41)。14年間は二人の妻のために、後の6年間はラバンの群れのために仕えました。今回の箇所は、後の6年間に関する出来事です。
ヤコブに最愛の妻ラケルから「ヨセフ」が誕生した後、伯父との約束の14年の期間が満了したので、ヤコブはカナンに帰りたいと申し出ました(25節)。このころ伯父のラバンは、ヤコブを通して「主の祝福」にあずかり、多くの財産を所有するようになっていたので、ヤコブをなおも留めたいと思いました。貪欲な伯父は、さらなる祝福にあずかりたいと思って、ヤコブを引き留めるために報酬を尋ねました(28節、29:15)。ヤコブはこのとき、個人の財産らしきものを何も持っていなかったので、単色以外の羊(羊については黒毛も)や山羊を自分の財産として認めてくれるなら、さらに仕えると申し出ました(32節)。羊は白毛、山羊は黒か茶の毛色が一般的でしたから、伯父にとって有利な条件を提示したことが分かります。しかし、伯父はヤコブの群れが増えるのを妨げようと策を講じました(35-36節)。一方、ヤコブがとった繁殖方法(37-41節)は、今日の私たちからするとよく分からないところがありますが、神はヤコブの家畜を非常に増やし、彼を富む者とされたのです(43節)。しかし、それによって妬みをかい、ラバンやラバンの息子たちの敵意を生むことになってしまいました(31:1-2)。そのような時に、主はヤコブにカナンに帰るように命じられました(31:3)。帰るためには、妻たちを説得する必要がありましたが(31:4-13)、妻たちも父ラバンに強い不満をもっていたので、すんなりと同意を得ることができました(31:14-16)。今回の箇所から、私たちはどのようなことを読み取ることがききるでしょうか。
第一に、ヤコブを富ませたのは「主」であるということです。ヤコブはとても不利な条件のもとで働きました。そして、ラバンの妨害にもかかわらず(31:7「報酬を何度も変えた」)、富む者となりました。それはヤコブが懸命に働いたからでもありますが、ラバンもヤコブも認めているように、それは「主」の「祝福」であったのです(30:27,30)。人間的な努力を否定するものではありませんが、私たちを「祝福」し、富ませるお方は「主」であることを忘れないようにしましょう(参 申命8:17)。
第二に、人生の決断における、さまざまな要素を見ることができるということです。ヤコブは、まず帰りたいと思いました(心の願い)。次に、伯父たちとの関係悪化によって、その思いは強くなりました(状況)。そして、神はヤコブに帰る時が来たことを告げられました(神のことば)。加えて、妻たちの同意も得ることができました(身近な人の意見)。
ところで、私たちは人生のさまざまな重要な決断において何を大切にしているでしょうか。自分の願いや状況だけで判断してはいないでしょうか。信頼できる人の助言に耳を傾けることも賢いことでしょう。そして何より、私たちを導こうとしておられる神に信頼し、みことばによって示されている方向性を見失わないことです(参 箴言3:5)。主の導きに信頼し、祈りつつ、賢明な選択をしていきましょう。
このメッセージハ2025.7.6のものです。


